香港に住むようになってから香港の歴史を知りはじめた私ですが、必ずそこに関連して出てくるワード「ウイグル族」。
最初はウイグルって何?と思っていたのですが、知ってみたらかなり恐ろしい内容..。
平和ボケして日本で生まれ育った私には、アニメの中の世界のようで、到底信じられないことばかりでした。
今回は、ここでそんなウイグル族について綴っていこうと思うので、少しでも多くの方に「こんな現実があるんだよ」ということを知ってもらえたらいいなと思います。
ウイグル族とは
ウイグル族とはそもそも、中国に住んでいるムスリム系少数民族のこと。
中国では約94%が「漢民族」と呼ばれる民族なのですが、それ以外の少数派民族のひとつがウイグル族でした。
といってもそれでもウイグル族だけで1500万人程いるというのですから驚き。
人種的にはトルコ人やアゼルバイジャン人、キルギス人などが多く、漢民族とは全く違った文化(ムスリム系)の民族です。
ウイグル族の歴史
ではなぜ香港と引き合いによくウイグル族の話が出てくるのかというと、ウイグル族は中国政府から人権を無視した弾圧行為を受けているから。
香港と共通の点があるんですね。
ウイグル族は中国のひとつの自治区「新疆(しんきょう)ウイグル地区」に多く住み、そこでムスリムの文化や宗教を持ちながら生活してきました。
しかしイスラム系の宗教をよく思っていなかった中国共産党は、徐々にウイグル族を弾圧していくこととなったのです。
彼らにとって当たり前だった文化を禁止し、それに反することをテロ行為を見なしました。
ウイグル族は豊富にあった資源を搾取され、住んでいたウイグル自治区を核の実験場にもされました。
文化の全く異なる漢民族がどんどん入ってくるし、ウイグル語の使用も制限されてしまうのです。
彼らにとってはイスラム教の文化が日常であって当たり前だったのに、それを壊され、そしてそれに反抗すると不当に逮捕されてしまいました。
日本人は無宗教な人が多いのであまりイメージが湧きづらいかもしれませんが、当たり前にあった日常を禁止されるというのはかなり辛く苦しかったのではないでしょうか。
イスラム系=悪とみなされる
こうして中国政府とウイグル族には大きな確執が生まれ、死傷者3000人が出るほどの大きな対立も起きました。
治安もどんどん悪化し、テロの発生なども問題になってきます。
そして中国政府はウイグル族を次々に拘束するようになっていったのです。
もちろんイスラム系の人たちも黙ってはいません。
アルカイダの幹部が中国へ威嚇したり、報復宣言を出したりもしました。
しかしウイグル族とイスラム系のテロ組織が手を組んでしまっては中国も困りますよね。
なので今でも中国はウイグル族を拘束し、洗脳し、拷問し続けているのです。
職業技能教育研究センター
拘束されたウイグル族は職業技能教育研究センターという名の施設に入れられ、そこで拷問を受けています。
中国政府は職業訓練が目的だ、なんて説明をしていますがその実態はただの洗脳。
監視カメラで24時間監視され「イスラム系は悪だ」と叩き込まれます。
今ではウイグル自治区に住んでいるウイグル人もスマホやパソコンの中身は全て監視されるようなシステムになっていて、GPSで24時間居場所が見張られています。
徹底的に管理され、礼拝をしたりイスラムに関する言動をすれば、職業技能教育研究センターという名の拷問施設送りになってしまうのです。
職業技能教育研究センターの内部は今でも実態がハッキリわかっていないのですが、朝から晩までウイグル人の思想を中国化されるのだそう。
鎖に繋がれて中国の革命歌を歌わされ、中国共産党や習近平への感謝の言葉を無理やり言わされるのです。
そしてそんな職業技能教育研究センターに現在拘束されているウイグル族の数は100万人とも言われています。
マンガ「私の身に起きたこと ~とある在日ウイグル人男性の証言~」全23P 1/6 今回は在日ウイグル人による証言をマンガにしました。※コピー無断転載はご遠慮ください。#ウイグル #Uyghur #Uighur #東トルキスタン #私の身に起きたこと pic.twitter.com/4hL087xNZY
— 清水ともみ (@swim_shu) February 20, 2020
なぜ中国はウイグル族を恐れるのか
ではなぜ中国政府はウイグル族をそこまで洗脳しようとしているのかというと、2014年、習近平がウイグル自治区を視察に来た際に、爆破テロが起きてしまったのです。
その前からウイグル族は独立運動などをしていて中国政府とは対立していましたが、狙われた習近平はそこで「イスラム教の中国化」を掲げました。
それからというもの、ムスリムの習慣の徹底廃止、冠婚葬祭の儀式や髭を伸ばすことなども禁止になってしまいました。
そしてそれに反発するウイグル人は、拘束して職業技能教育研究センター送りとなってしまったのです。
職業技能教育研究センターに拘束されたウイグル族はそのまま何十年も施設から出てこなかったり、一生をそこで終えてしまう人も少なくありません。
そして先ほど書いたようにウイグル人はスマホもパソコンも監視されているので、詳しく事情を聞いたり本音を言い合うことができないのです。
誰にも心を開けずに怯えて暮らしている。
そんな悲しいことが現実に起きているのです。
収容所で起きていること
中国はウイグル族の1000年以上の歴史を排除し、中国人化しようとしています。
このまま誰も助けの手を差し伸べなかったら、ウイグル語やウイグル文化、ウイグル族特有の伝統美も失われてしまうでしょう。
中国政府は今でも「職業技能教育研究センターでは希望者に教育と訓練をしているだけ」と答えていますが、実際には絶対に脱走を許さずカメラが張り巡らされた施設内で、中国語教育をされて思想をねじ曲げる刑務所のような場所なのです。
ではどうしたら職業技能教育研究センターから解放されるのかというと、それは収容されたウイグル人が完全に中国の思想に洗脳されたら。
今までイスラム教だったことを反省し、悔い改めたら。
完全に人格を改造されたら解放、ということなんです。
なぜ彼らはそんな目に合わないといけないのでしょうか。
ウイグル人女性
— 太田誠 (@ootamakoto1) February 26, 2020
悲痛な叫び
家族に電話したい親戚・親・兄弟を開放しろ、臓器売買するな、子供から臓器を取り出して売買するな不当拘束を辞めろ収〇所に入れるの辞めろ収〇所解体
私たちの国を返せ仲間を殺すな
之を容認する習近平国賓来日 https://t.co/1qJJ9KG3JRpic.twitter.com/WAg1MkZo4U
世界は見て見ぬ振り
そして世界はウイグル族が拷問をされていることを知りながら、何も手助けができないでいます。
それはなぜかというと、結局は中国を敵に回すのが怖いからなんですよね。
漫画ワンピースのように悪い政府を正義感だけでぶっ飛ばしてくれる人はいないのが現実です。
でも、じゃあ黙っていていいのでしょうか?
現在は記者などがウイグル自治区に行ってもウイグル族はみんな本当のことも言えなくなっています。
なぜならそれがバレたら収容所に拘束されてしまうから。
そんな辛く悲しい人生を送っている人がいるのに、見て見ぬ振りをするんですか!?
中国共産党員を親族に!?
2017年以降はウイグル族への弾圧も一層激しくなり「中国共産党の人とウイグル人でペアを組んで家族になる」という気持ちの悪いプログラムも行われています。
ウイグル族の女性が住んでいる家に中国共産党員の男性が入り込み、6日間程滞在するのだとか。
そういった家の女性は、夫が職業技能教育研究センターに収容されてしまっている場合が多く、そこに中国共産党員が2ヶ月に1度程現れ「親族」と呼ばせ、同じベッドで寝るそう。
これも洗脳の一環なのでしょうが、拒否をすればその後何をされるかわからないんです。
一方、職業技能教育研究センターでも洗脳教育だけではなく、レイプや暴行、医学実験体に使われたり、食事を与えられないなどの拷問が行われています。
ただ自分が生まれた環境で、そこで覚えたサイクルで楽しく人生を送っていただけで、監視され拉致され洗脳され、拷問を受けるようになってしまう。
そしてそれに手を差し伸べる国はいない。
現実は恐ろしく、そして信じがたい。
ウイグル族について まとめ
今何が流行ってて、どんなファッションが可愛くて、どんなアプリが面白いのか。
昨日はどこでデートして、誰と誰が付き合ってて、あの人が仕事をやめたらしい。
そんな話もいいけど、本当に気にかけるべきことにも目を向けてみてほしい。
ウイグルで起きていること、香港で起きていることは日本でもいつか起きうること。
対岸の火事ではない。